大阪国際文化協会

あっぷる de アート「裏面も凄いんです」



作品名:夏秋草図屏風(なつあきくさずびょうぶ)
製作年:1821年?
サイズ:2曲1双(縦横各164.5×181.8cm)
所蔵 :東京国立博物館・重要文化財
作者 :酒井抱一(さかいほういつ)1761~1828 江戸時代

「夏秋草図屏風」は、尾形光琳「風神雷神図屏風」の裏に一橋家の依頼で描かれました。
現在は表面から外され、別の屏風に仕立てられていますが、
表は空を飛翔する風神雷神、裏は野辺の草花だったのです。

本来の表裏一体にすると・・・
雷神の裏面には雨を受けた夏草
(ユリ、ピンクの朝顔っぽいのはヒルガオ、真っ直ぐに立つのはオミナエシ、
赤いのはセンノウゲだそう。)
風神の裏には風に吹かれ、なびく秋草
(ススキ、三角形に固まる花は葛、野葡萄、小花の集まりは藤袴)
季節は夏から秋へ移行。ススキは左右で描き分け季節の変化が感じられます。
表の金地に対し、裏の銀地・・・とまぁ、これでもかと上手く対をなしていること!
光琳の作品から多くを学んだ抱一が返して、響き合っているようです。
当時は銀地が冴えた光を放っていたことでしょう。
姫路藩主の家系に生まれた抱一は、書画・俳諧・浮世絵と非凡な風流人だったそう・・・
(だからこそ描けた傑作?!)

この作品は自然の音まで感じさせるのが素晴らしくて、左隻は野分という言葉が浮かびます。
植物の美しさに時代の隔たりは関係ないですね。
草花なんだけど優美。
(百合をススキの葉の後ろでチラ見せ・・・聖母とセットの百合とは全く違う表現)
(カワイイやアニメばかりが日本の魅力じゃないのよね~)
ところで、今回の「夏秋草図屏風」の表側だった「風神雷神図屏風」は俵屋宗達の作品を尾形光琳が模写したもの。
「風神雷神図屏風」は、俵屋宗達→尾形光琳→酒井抱一とほぼ100年毎に描かれたんです。
抱一の弟子の鈴木其一(すずききいつ)まで描いている・・・琳派に受け継がれるモチーフ?!

作品名:風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)
製作年:18世紀
サイズ:2曲1双(縦横各166.0×183.0cm)
所蔵 :東京国立博物館・重要文化財
作者 :尾形光琳(おがたこうりん)1658~1716 江戸時代

作品図録を9/29(火)あっぷるに展示します。美しくカッコいい琳派の作品を是非、ご覧ください。
(風神雷神の顔をお子さんが怖がったら、綺麗な花のページを開けましょう~)

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