大阪国際文化協会

10月 えほんの日

皆さん、お久しぶりです。緊急事態宣言が解かれ、半年振りに 「えほんの日」再開です。今回ご紹介したのは、”しもかわら ゆみ ” さんの作品です。

まず、「写真かな?」と見紛うほどリアルに、繊細に描かれた動物たちに目を奪われます。それでいて、なんともいえない愛らしい表情と仕草が、優しさあふれるストーリーとピッタリ合わさって、ページをめくるごとに幸せな気分にさせてくれます。

子どもの頃から絵本好きだった しもかわらさん、高校時代は美術部と演劇部に熱中し、社会人として色んな仕事を経験しながらも、やはりイラストレーターの道に進みたいという思いから、通信教育を受講しました。そこで出会った動物細密画に魅せられ、動物をリアルに描くことが楽しくて、没頭されたそうです。その通信教育スクールで、絵本グランプリを受賞したことがきっかけで、2014年、「ほしをさがしに」(講談社) で絵本作家としてデヴュー。その後、講談社から 「ぽつぽつ だいじょうぶ?」や、「おすわり どうぞ」など、赤ちゃんから大人まで、みんなが楽しめ、心が癒される作品を次々に出版されています。

「ねぇねぇ あのね」(講談社/ 2020年) の作品には 「あなたのことが好きよ」と伝えることの嬉しさ、伝えられた時の喜びが、動物たちの表情と仕草に溢れ出ています。「あなたを大切に思っている」という気持ちに触れると優しい気持ちになれます。「優しくされると、優しくしたくなる」そういう優しさが巡り巡る環境の中で幸せに生きていけたらいいな、という思いを込めて出来た作品だそうです。この作品に最初に登場するヒヨコちゃん、黄色い羽毛のモフモフ感がなんとも言えません。

急にハグされてビックリのめんどりさん、本物のめんどりの、まさに”あるある”の表情に笑ってしまいます。

そんな一瞬をうまく捉えて描かれているのは、しもかわらさんが子どもの頃にヒヨコちゃんを飼っていて、愛情たっぷりに育てていたからかもしれませんね。

「ごちそう たべにきてください」茂市久美子 作 / しもかわらゆみ 絵 (講談社 2021年) こちらはご馳走をふるまうのが大好きなウサギさんのお話。実りの秋、今のこの時期にぴったりの絵本です。

そして今年の4月に福音館書店の「ちいさなかがくのとも」から出版された 「さぁおいで こどもたち」小風さち / 文、しもかわらゆみ /絵、こちらはカルガモ親子の1日を追った絵本。ページごとに変わる視点の角度から、臨場感があふれ、水辺の生き物や植物、透き通った水面…、本当に息を呑むような美しさです。

しもかわらゆみ さんの絵本、是非、手に取ってみてくださいね。

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