あっぷる de アート「怪しい炎」
皆さん、蝶と蛾って何となく扱いが分かれていて、蝶は美しく、
蛾は少々不気味なイメージではありませんか?(街灯や自販機に集まるし)
某有名カップは蛾も蝶も平等にモチーフにされ、花々と共に絵付けされますが・・・
(あれって不思議なんですよねぇ)
今回は蝶ではなく炎と蛾を描いた日本画をご紹介。(また無理やり始めちゃいます♪)
今回は蝶ではなく炎と蛾を描いた日本画をご紹介。(また無理やり始めちゃいます♪)
作品名:炎舞(重要文化財)
製作年:1925年(大正14)
サイズ:120.3x53.8cm
所蔵 :山種美術館
作者 :速水御舟1894~1935
燃え盛る炎に煽られている蛾。
当然この後、蛾は燃えてしまい、哀れ命尽きる運命。
まさに「飛んで火に入る」状態なのですが・・・
闇夜を背景に炎の朱赤と、細密描写された蛾が怪しい美を放っています。
画家が二度と表せない色だと言った闇夜との対比が効果的です。(本作は切手に採用)
炎をじっくり観て下さい。
蛾は本物の様に描いているのに対し、炎は日本画の様式で仏画にも見られる描き方です。
(ほら、不動明王とかが背負ってる〜!)
パチパチと火の爆ぜる音、吹き上がる炎と煙に火の粉。熱風の対流まで感じさせます。
蛾の羽は闇と炎に透けて、その薄さ脆さを完璧に表現し、命の儚さを感じさせる様です。それにしても羽のグラデーションが美しいですね。
この絵を描く為に速水御舟は、庭で毎晩焚き火をしながら写生したそうです。
そう聞くと、炎の変化を写し取ろうとした画家の執念まで感じてしまうかも。
実物を観ると、ただ作品の前に立ち尽くしてしまう・・・怪しくも幻想的な作品です。
蛾の羽は闇と炎に透けて、その薄さ脆さを完璧に表現し、命の儚さを感じさせる様です。それにしても羽のグラデーションが美しいですね。
この絵を描く為に速水御舟は、庭で毎晩焚き火をしながら写生したそうです。
そう聞くと、炎の変化を写し取ろうとした画家の執念まで感じてしまうかも。
実物を観ると、ただ作品の前に立ち尽くしてしまう・・・怪しくも幻想的な作品です。
各作品で描き方が、がらりと変わる御舟作品をもう1点ご紹介。
作品名:翠苔緑芝(すいたいりょくし)
製作年:1928年(昭和3)
サイズ:172.6x362.4cm(4曲1双)
所蔵 :山種美術館
作者 :速水御舟1894~1935
左隻はアジサイと白兎、右隻は琵琶と黒猫。
屏風絵で背景は無地の金箔・・・伝統的な日本画と思いきや、
装飾的構成と単純化された形には琳派と西洋画が混在。
緑の苔は単純化され、のっぺりとした印象すら受けます。
それなのに黒猫は奥にいるであろう奥行きを感じさせます。
画家は「後世、この絵は面白い絵だと言ってくれるだろう」と語ったそうです。
黒猫はウサギを見ている様だけど、ウサギは緊張感の無い様子。
これじゃあ狩る側と狩られる側の緊迫感があるんだか、無いんだか・・・
実は紫陽花が壁になってて互いに見えていない?!(そもそも主役は紫陽花?)
紫陽花は厚塗りでヒビも入っているのですが、描き方を御舟は誰にも教えなかったそう。
白黒対比のウサギと猫のポーズや雰囲気が、コミカルな感じも漂わせ独特ですよねぇ。
お子さんと楽しめそうな作品です♪
腸チフスで亡くなった御舟の人生はたったの40年!!
その短い人生の中、25歳で市電に足を轢かれる不運もありました。
ビックリなのは、他の車両も詰まってしまい人に迷惑をかけるからと、
轢かれている本人が車両を動かすよう言ったそうです。(結局、左足首を切断。ひえ〜っ)
轢かれている本人が車両を動かすよう言ったそうです。(結局、左足首を切断。ひえ〜っ)
御舟は「梯子の頂上に登る勇気は貴い。さらにそこから降りて来て、
再び登り返す勇気を持つものは、さらに貴い」との名言を残しています。
常に新しい表現を求め、画風が変化し続けた御舟だからこそ出た言葉なのかも。
(う〜ん、画家の枠を超えちゃったお言葉です!)
(う〜ん、画家の枠を超えちゃったお言葉です!)
参考文献
「もっと知りたい速水御舟 生涯と作品」尾崎正明 監修