8月クラシックの日
8月ももう終わりですが、まだまだ暑い日が続きますね。今月のクラシック、今回はジョルジュ・ビゼーと彼の代表作オペラ「カルメン」をご紹介します。
ジョルジュ・ビゼーは、1838年パリに生まれました。父は声楽教師、母はピアニストで幼い頃からピアノの才能を示し、9歳でパリ音楽院に入学しています。 リストの新作のピアノ曲を一度聴いただけで性格に暗記し、弾きこなして見せ、リストを驚嘆させたという逸話が残っています。 しかし、オペラ作家としての成功を夢見ていたビゼーは、ピアニストになることを潔しとはしませんでした。
オペラなどの劇音楽を作曲の中心とし、25歳のときのオペラ「真珠取り」でオペラ作曲家の地位を確立します。その後、フランス人の作家アルフォンス・ドーテの劇「アルルの女」の付随音楽や、オペラ「カルメン」などを作曲しました。
1875年3月3日にパリのオペラ=コミック座で行われた『カルメン』の初演は、ヒロインが女性労働者だったこともあり失敗に終わりました。ヒロインの声域をそれまでに一般的だったソプラノではなくメゾソプラノに設定したことも新しさの一つでした。初演時には失敗だったというビゼーの歌劇「カルメン」。しかし現在では世界で最も人気のある歌劇の一つです。初演後、ビゼーの元にはウィーン公演の依頼も舞い込んでいましたが、もともと病弱であったビゼーは同年6月4日に36歳の若さで急逝。依頼がかなうことはありませんでした(彼の死後、友人エルネスト・ギローが改作を施し、ウィーン公演にこぎつけたことも知られています)。
さて、このカルメン、オペラは知らなくても、曲は知っている方が多いのではないかと思います。序曲は運動会でもお馴染みの曲です。音楽の授業で習った方もいらっしゃるかもしれません。
主人公のカルメンは、自分に合わないとすぐ次の男に心移りしてしまう恋多き女性。そして男はその性格に翻弄されて人生を破滅させてしまう…。そんなカルメンは長い間「悪女」と見られてきました。
しかし時代が進むにつれて、カルメンという女性は、男性の言いなりにはならず、自分の意志や想いをはっきりと主張して生きる「自立した大人の女性」として捉えられるようにもなっていきます。
つまり、カルメンという女性は、時代や社会によって様々な見方ができる奥深い人物なんです。
そんなカルメンの性格を紹介するようなアリアがあります。登場シーンでカルメン自身によって「私に好かれたらご用心!」と歌われる「ハバネラ 恋は野の鳥」。オペラでは、主要人物が登場シーンで自分のプロフィールを歌で語ることが多く、一つのお約束のようになっています。
内容を知らなくても楽しく観る、聴くことはできるのですが、実はかなりドロドロな恋愛ストーリーです。真面目な兵士ホセは、自由に生きるジプシー、カルメンに恋をします。
そのことでホセの人生は大きく狂い始めます。 二人は結ばれますが、気の代わりが早いカルメンはすぐにホセを捨ててしまいます。
失恋し嫉妬に狂ったホセが、カルメンを殺してしまったところで幕がおります。
だいぶ端折りましたが、まさに昼ドラ的展開。小学校の運動会で使っていい曲なのか不安になります。詳しい内容を調べてみても面白いですよ。
普遍的ともいえる男女の愛のすれ違いが、名曲によって彩られながらドラマティックに描かれる、それが「カルメン」を時代が変わっても愛され続けるオペラにしているのかもしれません。