あっぷる de アート「兎に角モフモフ」
今年の干支はモフモフ代表のウサギ♪
ウサギは多産なことから子孫繁栄の象徴として描かれる一方、色欲を戒めるモチーフにもなりました。
(蝶ネクタイをしたウサギの横顔がロゴマークのアメリカ雑誌がありますね〜)
また、月と狩の女神ディアナを表すものとして、狩られたウサギが女神の傍らに描かれた事も。
狩猟対象のウサギ・・・撃たれた後に吊るされた哀れな姿が写実的に描かれもしました。
残酷だという感想も分かりますが、絵でジビエを知ることが出来ます。
作品名:白孔雀
製作年:1692年
サイズ:191×166cm
所蔵 :ウィーン美術アカデミー
作者 :ヤン・ウェーニクス 1639?~1719
ヤン・ウェーニクスは風景や花、陶器等と組み合わせた狩猟画を残しました。
対象の描き分けは画家の腕の見せ所であったでしょう。
狩猟画には、このような獲物を描いたものと、狩猟現場の様子を描いたものがあります。
日本の『ウサギ絵』といえば、先ずはこちら!ウサギと蛙が様々な行事に参加しています。
何でも擬人化しちゃう日本人の得意技が盛り沢山♪
巻物ですから巻いていくとストーリーが展開。
最古の漫画とも言われるのは、吹き出しを付けたくなる表現にもあります。
実際に、相撲でウサギを投げ飛ばすカエルの口から線が描かれており、気を吐いている様子が分かります。(とりゃ〜って感じよね)
その右のウサギはカエルに耳を齧られて叫び声をあげてそう(線は描かれてないけど)
作品名:鳥獣人物戯画(国宝)
製作年:12〜13世紀(平安〜鎌倉)
所蔵 :高山寺(甲・丙:東京国立博物館)(乙・丁:京都国立博物館)
作者 :不詳(一部、鳥羽僧正覚猷?)
甲乙丙丁と4巻もある大作ですが、未だに作者不明。(時代を跨いで複数名いるそう)
ウサギとカエル以外にも、猿が僧になっていたりします。
鹿は擬人化されずに出てきて、人も登場し・・・
謎だらけの作品ですが、ジャンルは鳴子絵(おこえ)と呼ばれる発想や描き方を楽しむもの。
甲巻は特に小さいお子さんとも楽しめる場面がいっぱいです。
ウサギは神話や昔話にも登場し(月でお餅もついて♪)、日本人に身近な生き物。
お約束のように月を背景にしたり、見上げたりする白兎も多く描かれました。
こちらは小原古邨の版画。
版画が機械印刷に押される中、古邨の花鳥版画は海外で大変人気がありました。
作品名:月に吾亦紅と白兎
製作年:1900〜1930年
サイズ:34.2×18.9cm 大短冊
所蔵 :中外産業
作者 :小原古邨 1877~1945
白以外のウサギもいますよ〜パンダ模様だって描かれているんです。
こちらは応挙の作品の影響を感じさせる長澤蘆雪のウサギ。
南天は『難を転ずる』で正月の縁起物、ウサギも足が速くて厄を逃れる上に子孫繁栄。
雪をかぶった南天との取り合わせが今の時期にピッタリですよね。
作品名:南天に雪兎図
製作年:1781年頃
サイズ:89.7×31.0cm
所蔵 :東京富士美術館
作者 :長澤蘆雪 1754~1799
ラストは日本史にも登場する有名人の作品。
将軍様もウサギを描きましたよ。
こちらは三代将軍家光のウサギです!
作品名:兎図(部分)
製作年:17世紀
所蔵 :府中市美術館(東京)
作者 :徳川家光 1604~1651
「あれ・・・こ、これは上様のお戯れ!?」とか絶対に言えないですよね。
この唯一無二の画力♪徳川家光の作品は家来に度々、下賜されていたそうです。
(う、う〜ん。名刀か、狩野派の作品を貰う方が嬉しかったかも!?)
参考文献
「決定版 鳥獣戯画のすべて」上野憲示(監)
「小原古邨 木版画集」
*おまけ*
京都市京セラ美術館、京都市動物園、平安神宮がある京都岡崎エリア。
何と境内がウサギ尽くしの『東天王 岡崎神社』があります。
狛犬ではなく狛ウサギがいます!おみくじも、お守りもウサギ。
子授けや安産の他、飛躍守(ぴょんまもり)等もありますよ♪