あっぷる de アート「診療院の癒し」
ペット犬にもブームがあって、最近はトイプードル、チワワ、ダックスが人気でしょうか。
ご近所で他に見かけるのはレトリーバー、コーギー、バーニーズ等。
芝犬は時々、秋田犬は稀に、紀州犬は見掛けなくなったような・・・
日本犬の方が珍しくなったように感じます。
ぶち犬なんて言葉自体、あまり聞かないかも知れませんね。
作品をご覧の通り、血統書無しでも仔犬は等しく可愛い!!
『みんなちがって、みんないい』です。(ちょっと無理やり・・・)
作品名:朝顔狗子図杉戸
製作年:1784年(天明4年)
サイズ:68×56cm
所蔵 :東京国立博物館
作者 :円山応挙 1733~1795
何とも愛らしい仔犬が5匹。
1匹は朝顔のツルをオモチャにしつつ、いたずらっ子の視線をこちらへ向けています。
左端の子は後ろ足で「かいかい」しているところ?!
右は会話している様な2匹と、乗っかっている1匹がいますね。
日本犬らしさといえばキリッと巻いた尻尾に三角形の耳かなぁと思うのですが、
仔犬の垂れた小さな耳って可愛いですね。
フワフワした毛並み、コロコロした感じ、まるで本物みたいです。
小首をかしげた白い仔犬は歯まで描き込まれているのですよ。
目鼻や毛並みはリアルに描き、耳はサラッと線で表現しています。
また、垂れ目がちに描かれているのも、仔犬達の表情を豊かに感じさせます。
木目から分かる様に、本作は屏風や掛け軸ではなく杉板に描かれています。
白い仔犬と朝顔の青・緑が対照的で、引き立って見えます。
左右を伸びて行く朝顔の蔓で繋ぎ、動きも出しています。
背景は丸ごと何も描かず余白とする思い切りの良さ!!
(余白も大事にするのが日本画の感覚。余白だから当然、何も描いていないけど
それを含めての作品なんです。)
(余白、余韻、間を大事にする心・・・古来、日本人特有の感覚なのかも)
応挙は他にも幾つか仔犬を描いており、藤の花を咥えた作品もあります。
どれも同じ様な仔犬が登場するので、近所にモデルがいたのか
実際に応挙が飼っていたのか・・・
本作は明眼院障壁画でした。名前が表す通り、明眼院は眼を診てくれるお寺でした。
書院の廊下にある引戸だったそうです。
廊下と引戸の茶色が一体化して、本物の仔犬が廊下の奥で遊んでいる様に見えたことでしょう。
治療を怖がる子供達の緊張をほぐしてくれたのかも知れませんね。
応挙といえば、写生力を挙げられます。
常に写生帖を持っていたとか。
本物らしさを追求して描いた作品→見たままで難しい理屈は不要→京都で大人気絵師に!!
何を描いても器用にこなした応挙は、孔雀も何点か描いています。
応挙の孔雀や鶴は、華やかでありながら上品です。
(派手さに目がチカチカ、超絶技巧に頭はクラクラ・・・とはならないのでご安心を〜)
作品名:孔雀図
製作年:1785年(天明5年)
サイズ:86.2×133.2cm
所蔵 :MIHO MUSEUM
作者 :円山応挙 1733~1795
7/13(火)13:30〜円山応挙の作品を紹介します。
ぜひ、お子さんと眺めて、日本画の美と『モフモフ』に癒されて下さいね。
仔犬が出てきたら指差してくれるかな〜♪