大阪国際文化協会

あっぷる de アート「うねる画面」

今回は、生前1枚しか売れなかったとか、数枚は売れたとか言われるゴッホの作品をご紹介。
ゴッホは筆まめ男だったので、場所は入院先での夜明け前の眺めだと分かっています。
でも実際は、故郷の教会を置いたりして、記憶と風景をミックスした構図を考えたようです。

 

作品名:星月夜(ほしづきよ)
製作年:1889年
サイズ:73.7×92.1cm
所蔵 :ニューヨーク近代美術館
製作者:フィンセント・ファン・ゴッホ(オランダ) 1853~1890

 

ゴッホといえば、ゴーギャンとの言い争いで自分の耳を切っちゃったとか、
ピストル自殺しちゃったとか(他殺説まであり)、壮絶なエピソードが目立つ人ですが・・・
本作品は耳切り事件と自殺の間、南仏の療養院にいた時に描かれたものです。
糸杉は死の象徴とされることや、渦巻く背景が、ゴッホの精神状態に言及されやすい作品。
描いた本人は出来栄えに満足しなかったそうですが、今では代表作の1つです。

 

渦巻きを星雲と見たり、星々から天文学的に一致する物を探したり、
死後のイメージだとか、宗教的意味合いを感じたりと色んな見方があるのが面白い。
私は巨大化して輝く月や星からパワーを、うねりは大気の揺らぎみたいと感じた記憶が・・・
(そう、絵から何を感じるかは個人の自由!!
ゴッホが病んでいたことを取っ払って観るのもオススメです。)

ゴッホ作品の素晴らしさは激しいタッチの他、色彩にもあります。
補色と言われる色彩の対比を駆使しているのにまとめ上げている!(しかも色彩は独学だそう)
本作品の星や月の黄色は3種類ほど使用。
その一つインディアンイエローは、実は牛の尿から出来ていました。
マンゴーの葉のみを食べさせた牛の尿からとったそうです。
(そ、そんな~って知らなくて良い事実かしら)
他の物を食べさせて貰えない牛は弱って寿命が短かく、動物虐待とされて取引禁止に・・・
同じ色の対比はフェルメールも多用。でも、フェルメールの絵は静謐と言われ、ゴッホは激しい。
やはり炎の芸術家?!

 

ゴッホの人生は叔父と同じ画商の道に入るも失恋と挫折、宣教の道に入るもこれまた挫折。
やがて創作活動へ。
兄と違い画商をまっとうした弟テオが数少ない理解者で生活の面倒もみました。
(生活費も画材代も世話してるのに、絵の具を生で厚塗りするなとは言われなかったのね・・・
そんなケチくさい事を言ったら傑作は生まれないのでしょうね。)

 

家族への憧れを抱きつつも独身だったゴッホですが、その死後も一番の理解者は
弟夫妻だったようです。
テオの奥さんヨハンナは出来た人なのか、彼女もゴッホの才能を信じていたのか、
ゴッホの書簡集を出しています。そのおかげもあって、ゴッホは死後、評価が跳ね上がったのです。

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