大阪国際文化協会

あっぷる de アート「人面魚!?」

今回は某メーカーの芳香剤の名前にも由来するシャルダンの作品♪
磔にされた赤エイが衝撃的ですが、画家に言わせれば「内臓まで描けるぞ!」ってところでしょうか。

作品名:赤エイ
製作年:1728年
サイズ:114.5x146.0cm
所蔵 :ルーブル美術館
作者 :シャルダン・ジャン・バティスト・シメオン(仏) 1699~1779

赤エイを頂点に魚、牡蠣、ネギの食材グループと、水差し、鍋、ナイフ等の道具グループ。
画家の狙いがシンプルで安定の三角構図です。
夫々の質感を見事に描き分けていますよね〜(銅鍋が上手いのよ)
牡蠣か何かに向かって毛を逆立てた猫が静寂を破ってます。
猫パンチ直前の様子が、エイの内臓のグロテスクさを和らげているでしょうか!?
本作は後にセザンヌやマティスにも影響を与えました。

水族館でも見る事が出来るエイ、ガラス越しで見ると人の顔みたいですよね。
笑顔に見えたり、困り顔に見えたり・・・
口は見たまんまで正解!
でも目に見える部分は鼻孔(鼻の孔)です。本当の目は表側に(背中側と言うべき!?)
更に両側下部に並ぶのは鰓孔(エラの孔)
見比べるとシャルダンの赤エイは弛緩っぷりまで伝わります。
台所に引っ掛けてあるからには、食材なのよね!?
(エイとアスパラガスのエシャロットソースなんてフレンチメニューがありました♪パイ包みも美味しそう〜)
エイの仲間には尻尾に毒針を持つモノも。
ダイビングの際にはご注意を!

作品名:ビュッフェ
製作年:1728年
サイズ:194.0x129.0cm
所蔵 :ルーブル美術館
作者 :シャルダン・ジャン・バティスト・シメオン(仏) 1699~1779

台所風景に生きた動物の組合せが気に入ったのか、こちらは犬と鸚鵡を対角線上に配置。
シャルダンは、アカデミーでの美術教育を受けませんでしたが、野外展に出品していた所を注目され、先の「赤エイ」とこの2点で王立アカデミー入り。
静物画は重要視されていなかった時代の快挙です。
(当初、オランダの静物画の秀作と思われたそう)

歴史画や神話画が重要視されている事は意識しつつも、シャルダンは身の回りのモノを描きました。
人物を描いても庶民の日常の一コマだったり、肖像画だったりします。

作品名:眼鏡をかけた自画像
製作年:1771年
サイズ:46.4x37.7cm
所蔵 :ルーブル美術館
作者 :シャルダン・ジャン・バティスト・シメオン(仏) 1699~1779

えっ「地味なオジさん」ですって!?
いやいや、堅実さとか誠実な感じが出てるでしょ!(アカデミーの会計任されたって記録も)

そんなシャルダン、実はルイ15世との謁見を許された画家なんです。
(謁見を許された画家はロココ絵画筆頭のブーシェと二人のみ)
しかも年金が支給され、宮殿に居室を与えられるという栄誉まで!(宮殿の暮らし難さは別として〜)
宮殿内にアトリエを構えても、貴族が遊ぶ甘く軽やかな (軽薄な!?)ロココの世界を描かなかったシャルダン。
(職人だったパパの気質を受け継いだのかしら)

作品名:食前の祈り
製作年:1740年
サイズ:49.5x38.5cm
所蔵 :ルーブル美術館
作者 :シャルダン・ジャン・バティスト・シメオン(仏) 1699~1779

華やかさはなく、明るくない色彩でも人気があり(全体に茶系なのはニスの影響もあるかしら)、王侯貴族の注文多数。
(フェルメールに近いとする声もありますが、昔のフィルム映像みたい)
こちらはルイ15世が気に入り献上されましたが、同じ構図の絵が複数あり、ロシア女帝達もコレクション。
エイも牡蠣もない、スープだけのささやかな食事ですが、ルーブル、エルミタージュ・・・どの美術館でも食前のお祈りは忘れないのです。

シャルダンの作品はこちらからもお楽しみ頂けます。

参考文献:「カンヴァス 世界の大画家19 シャルダン」 木村正三郎・中山公男(著)
「新潮美術文庫15 シャルダン」 黒江光彦(著)

*お知らせ*
あっぷるでのアート紹介は隔月となります。
8月は日本画を予定しています♪

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